しみる恋。
昨夜、少女の案内で来たときは、もっと楽だった気がするのだが、どうも足元が不安定だ。

考えてみれば朝食の席を蹴ってきたのだ。

集中しようとするのを空腹が邪魔する。


「こっちよ」

「は……え?」


ぐっと、温かな手が、豊の身体を引き上げた。


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