しみる恋。
「あれよ」
ほら、というので、身を乗り出してみたら、崖の下には海が広がっていた。
「ま……さか。泳いでもどるなんてんじゃ……」
息をのんでいると、的確な指摘がバシバシ飛んでくる。いわく、
「どうしたの? 昨夜の今日で、海の中に耐性ができたんじゃないの? それともトラウマ?」
「黙れよっ、いくらなんでも、この高さはないだろ。こ……んな、暗い時に泳いだら、足つったときどうするんだよ」
そう言うと、彼女はいたずらっぽい笑みを浮かべた。