ありがとうって言いたくて
お弁当を食べ終え、チラッと仙崎くんを見ると、何人かの女の子に囲まれている。
その女の子達は、髪は金髪に近い色で、ピアスやネックレスを付けていて、高校2年生には見えないくらい。
そして、少しきつい香水を付けて仙崎くんと楽しそうに喋っている。
「ねぇ、理央!今日暇ぁ?放課後、カラオケ行くんだけど、行かない?」
ボタンを胸元まで外し、上目遣いでにこにこと微笑んでいる。
(女の色気っていうのは、こういう事なんだ…)
思えば私は、茶髪に近い髪で制服もきちんと整えていて、ピアスなどは付けたことがない。
(こんな私が、仙崎くんと話せるわけないじゃん…)
心の片隅で、私はそう思っていた。