あたしだけのタクシー
「どうぞっあたし、こういうのほっとけないタイプなんでっ!」

あたしはとっさに礼をすると、駆け出した。
子連れのお母さんは何度も何度も後姿のあたしに向かってありがとうございますと叫んだ。
あたしはその言葉を身にしみさせながら、またさっきのあたしに戻り、走った。
やっぱり、奇跡なんて起きないって。
あたしは腕につけてある、腕時計で時間を確認した。

「やばっもう8時じゃん?!」

あたしの走る足はもっともっと急速度に達した。
やばいやばい、あたしはそれを心の中で何度も呟いた。
けれど、学校までかなり時間がかかる駅にいたあたし。
走っても絶対に間に合わない。
だからといってここで足を休ませたとして、逆に単位を奪われてしまうような気がする。
それは駄目だ、、。
どっちにしろ遅刻であっても、早く行ったほうが何かといいはず!
あたしは確かな希望を持って、また走り出した。

けど、やっぱ間に合わないよ。
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