あたしだけのタクシー
最後の方法、それは・・
手段に困ったときに使う、女子高生にはなんとも恥ずかしい手だった。

“ヒッチハイク”

その面影を表すのはあげられた右手の親指。
ある意味ではいいよとか、OKとかそういう意味で用いられる。
それが今、人生で初。とても恥ずかしいと思った。

「誰かー、乗せてくれませんかー?」

あたしは大声で叫んだ。
けど、いい事にあたしが今いるのはあまり車の通れない、小さな道。
だからもちろん、通ってくれる車は少ないけれど、
あたしの大声を聞いてくれる人は少なくなる。
あたしは車の数より、恥ずかしさだから、
少しこの道に感謝しなきゃな、と悟った。
・・・にしてもとまらない。
そりゃ、承知してたことだけどさ。
誰一人こっちを向かない。
そんなのありかよ?!
あたしが愚痴を心の中で言っていると、一台の車があたしの前に止まった。
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