あたしだけのタクシー
「どこまで?」

その人は窓を開け、あたしに問いかけた。
あたしは止まってくれる人もいるんだ、という驚きに呆然としていた。

「どこ?」

その人はあたしに何度も問いかける。
あたしは呆然としたまま。

「ねぇ、どこまで?那歩」

「えっ?!」

その人はいきなり、あたしの名前を呼んだ。

「なんで知ってんの??」

あたしはまたそこに呆然とした。
ていうのか、ただびっくりした。
もうびっくりびっくり。
驚きは一つも隠せない。

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