Vrai Amour ~秋緒の場合~


「・・・くっ」



噛み締めた唇に更に力を込める。

じんわり血の味が滲んでくる。

その時、ふわりと背中をあたたかく包み込まれる。




「・・・私、秋緒さんを守りたい」




そのままぎゅーっと抱きしめられ、そのあたたかさになんだか妙にほっとする。


「・・・っ・・ガ、ガキに言われたくねーよ」


そう言って、腕を引き剥がそうとするともっと力を込めて握ってきた。


「・・・ガキかどうか、確かめて」


千夏はゆっくりと腕を離すと、俺の正面に立ち直った。




思わず、声が出なかった。





姿を現した千夏は、一糸纏わぬ姿だったからだ。
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