Vrai Amour ~秋緒の場合~


俺はしゃがんで千夏の膝を持つと、そのままベットへとゆっくり歩いた。


「あ、秋緒さん」

「秋緒」

「え?」

「秋緒でいいっつってんの」

「あ・・う、うん・・・」

千夏をベットにおろすと、その上にゆっくりと覆い被さる。

今にも泣いてしまいそうな顔をしていた千夏も、ゆっくりと目を閉じていく。

「・・・千夏」

そっと名前を呼ぶと、千夏の目が見開かれた。

「何?」

「・・・嬉しくて、心臓壊れそう」

そう言って微笑んだ千夏は本当に幸せそうで・・・

俺はきゅっと胸が締め付けられそうになった。

「・・・壊してやろうか?」

俺ははそれに気づかれないように、わざと口の端をあげた。

でも、千夏は更に頬を染め、恥ずかしそうに答えた。



「・・・優しく、して」



どきんっ


自分でも驚いた。

こいつ、可愛いかも、と思ってしまった。



今まで遊んだ女は「めちゃくちゃにして」とかそんなふうにしか言わなかったのに。
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