Vrai Amour ~秋緒の場合~
「え?」

「ほら、どうするの?」


そう言いながら、顔を近づける。

数センチまで近づいてピタリと止める。


「もう、いじわる」


千夏は真っ赤になったまますばやく俺の頬にキスをした。

調子に乗った俺はさらに続ける。



「・・・大人のキス、この間教えたでしょ?」



片手でさらりと頬を撫で、唇が触れる寸前まで近づける。



「・・・咲子さんの、こと?」


不意に千夏がそう言って、俺を見つめ返した。

どくんと心臓が脈打ち、さーっと血の気が引いた。

それをごまかすように、千夏の頭を引き寄せると唇を無理やり重ねた。
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