Vrai Amour ~秋緒の場合~
「あ・・・」
千夏は驚いたような顔をしたけれど、すぐにポケットからハンカチを出して俺の涙を拭った。
いい匂いがする・・・・
千夏が拭ってくれたハンカチはとてもいい匂いがして
柔らかくて、心地いい。
なんだか、ふと結婚するのもいいなと思えた。
こうして、誰かと一緒にいて幸せを感じられるなら・・・・
「千夏」
俺はハンカチを握り締めた千夏の手を取った。
「・・・な、何?」
「・・・俺と、正式につきあってくれないか」
迷いはなかった。
すんなりと口から出た。
千夏は目を見開いたまま言葉をなくした。