Vrai Amour ~秋緒の場合~
2.強気な彼女
次の日。
咲子のマンションから出て行くと、目の前に黒ずくめの外車が止まる。
すーっとウィンドーがおりて、現れたのはあの写真の女だった。
「初めまして、九条秋緒さん」
にっこり微笑むその顔はやはりお嬢様で、でもやはり子供だなと思う顔つきだった。
「乗ってくださる?おうちまでお送りするわ」
相変わらずにっこりしているが、運転席から降りてきた執事らしき男ががっしりと俺の腕を掴んで反対側へと回らせた。
「・・・見合いなら断ったはずだけど」
そう言っても変わらずにっこりだ。
「・・・ええ、だから直談判に来たの」
黒ずくめの車に押し込められ、扉が閉まると前の席との間にはカーテンが引かれる。