△~triangle~
9 好きな人(明)
「……っ……あっ……あき……らっ!」
噎せ返る様な香水と汗の香り。
それから女の甘い喘ぎと吐息を抱いたまま、律動を深く速めて行く。
「……ああっ!!」
女は甘美な声を上げると、俺の身体を強く抱き締める。
そんな彼女を冷たく見下ろしたまま、倒錯的な快楽を貪った。
「……愛してる。愛してる……明」
そう彼女は繰り返し、俺の背中に爪を立てた。
そのまるで呪いの様な愛の囁きに嘲笑を浮かべる。
……こいつの事は嫌いじゃない。
むしろ気に入っているから、こうしてここに居る。
でも俺に向けられるその《言葉》には、いつまで経っても慣れなかった。