△~triangle~
「やめろォオオオオオ!!」
そう叫んだ瞬間、急に激しい嘔吐感が込み上げ、口に手を当てたまま洗面所へと向かって走る。
そのまま体を震わせながら、繰り返し吐き続ける。
胃の中身が全て出尽くし、ただの胃液しか出なくなっても、激しい嘔吐感は消え失せてはくれない。
「……っ……ふっ……」
カタカタと体を震わせ、崩れる様に床にしゃがみ込む。
いつの間にか……泣いていた。
それは嘔吐による生理的な涙だったのか、耐え難い恐怖に怯え流す涙なのか、それとも……悲しくて流している涙なのか、もう自分では分からなかった。
「……許さない。俺は絶対に……許さない」
目の前の鏡に映る自分を睨みつけたまま、そう繰り返す。
成長するにつれ、忌わしいあの《男》に似てくる自分の姿に激しい嫌悪を抱いたまま、ただボロボロと何故流しているのかも理解出来ない涙を零し続けた。