△~triangle~

「僕は君のお父さんと大学時代からの友人でね。君が生まれたばかりの頃に何度か会った事があるんだよ。あ、ちょっと待って……ほら!」

そう言って彼はポケットから定期入れの様なモノを取り出すと、そこから写真を取り出して私に差し出した。

そこには今よりもずっと若い父と母、そして生まれたばかりの私の姿が写っている。

それから他にも数枚、学生時代の父と彼が写っている写真を見せてくれた。

「……父の……」

そう呟き少し表情を曇らせると、彼は少しだけ悲しそうに瞳を揺らして頷く。

「君の事は雑誌記事で読んだよ。何て言っても君を傷付けるだけだと思うけど……大変だったね」

彼はそう言って心配そうに私を見つめた。

「もう……終わった事ですから」

そう小さく答え精一杯の笑みを浮かべて見せると、彼は悲しそうに笑って《そうだね》と呟いた。
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