△~triangle~
「でもどうして君がココに居るの?」
「あの……私……あの家を飛び出して、二人に拾って貰ったんです。二人には名前も、本当の事も、何も言ってなくて……」
彼に今までの状況を説明すると、彼は少し驚いた様に眉を動かしながらも、静かに私の話を聞いていた。
「……そっか。分かった。じゃあもしも二人に会っても、君の事は何も教えない。……それでいいかな?」
「はい。ありがとうございます」
その私の答えに彼はニッコリと優しい笑みを浮かべると、深く頷いて見せた。
「今日は帰るとするよ。もしも蓮が帰ってきたら……僕が話があると伝えてくれるかな」
「分かりました。……でも、蓮にですか?明には……」
「明には僕がここに来た事は内緒にしてくれないかな。ちょっと色々あってね」
彼はそう言うと困った様に笑って、窺う様に私を見つめる。
「……は、はい。分かりました」
「ありがとう」
私の答えに彼は少しだけ悲しそうに瞳を揺らすと、それから静かに私を見つめた。