△~triangle~
「……写真?」
蓮は料理の手を止め私を振り返ると、小さく首を傾げて見せる。
その蓮の瞳が微かに不安そうに揺れ、私を窺う様に蓮は私の答えを待っていた。
「写真って……何の写真?」
蓮は少し鋭い瞳で真っ直ぐに私を見つめたまま、もう一度問い掛ける。
「……今日、蓮の……お父さんに会ったの。このマンションの入り口で……」
その私の答えに蓮は驚いた様に目を見開くと、それからとても険しい顔をして静かに俯いた。
「そこでたまたま会って、須藤さんが私のお父さんの友達だって聞いて……それから……」
そこまで言って声を詰まらせると、蓮は小さく息を吐く。
「……それから?」
冷たく聞こえた蓮の声にグッと息を呑むと、それから小さく口を開く。
「それから……写真を見せてもらった。明と……蓮が写っている写真。……十年前のものだって須藤さんが言ってた」
その私の答えに蓮は呆れた様な笑みを浮かべると、もう一度大きな溜息を吐いた。
「それで私、気付いたの。蓮が……私がずっと探していた人だって」
微かに震える声でそう言うと、蓮は表情を曇らせ私から目を逸らす。