△~triangle~
「ダメだよ……ノラ。それ以上言えば、僕等は一緒に居られなくなる」
そう言って蓮は悲しそうに笑った。
「だからもう……その話は終わりだよ?」
蓮は私の耳元に唇を寄せそう甘く囁くと、クスリと妖しい吐息を漏らす。
その今まで見せた事も無い彼の姿に、どうしようもない不安を覚えた。
「……で、でも……」
「君がこれ以上この話を続けたいなら、悪いけど……ノラにはこの部屋から出て行ってもらう事になる。それでもまだこの話を続ける?」
そう言って蓮はニッコリと笑みを浮かべると、小さく首を傾げて私の答えを待っていた。
その彼の言葉にビクリと身を強張らせたまま……強く拳を握り締める。
……ここから出たら……もう行く所なんて無い。
そんな考えが頭に浮かび、緊張でドクドクと鼓動が速くなり、不快な汗が滲む。
「……蓮」
震える声でそう小さく名前を呼ぶと、蓮は少しだけ悲しそうに瞳を揺らし……それから優しい笑みを浮かべて見せた。