△~triangle~
「……やっぱり……ダメだよ」
急に聞こえた声に遠い記憶から呼び戻され、微かに身体を強張らせた。
そのままテレビの前の彼女へと視線を向けると、彼女は僕に背を向けたままギュッと強く膝を抱える。
「ノラ……その話はもう終わり……」
「私、ずっと忘れられなかった」
僕のその言葉を遮りノラは言葉を紡ぐと、それから静かに僕を振り返った。
「私、貴方をずっと探していた。もう一度貴方に会いたい。貴方と話したい。だから私……」
「いい加減にしてよノラ。どうしてそんなにその話に拘るの?どうだっていいじゃないか。そんな昔の話なん……」
「どうでもよくなんかないよ!!」
急に声を荒げた彼女を、ただ茫然と見つめる。
ノラはとても真剣な顔をして真っ直ぐに僕を見つめたまま、僕の目の前まで歩いてきた。
「どうでもよくなんてないよ!どうして忘れたふりなんかするの?本当は覚えているんでしょ?」
その彼女の問いに呆れた様に小さく息を吐くと、彼女は少し表情を険しくした。