△~triangle~

「私……ずっと貴方が好きだった」

ノラの口から放たれた思いもよらぬ言葉に、思わず微かに口を開いた。

「ずっと貴方に感謝していた。貴方が居たから私は頑張れた。辛い事があっても、悲しい事があっても……頑張る事が出来た。……貴方が一緒に居てくれたから」

ノラは微かに震える声でそう言うと、ギュッと強く拳を握り締める。

緊張しているのかカタカタと小刻みに震えるその拳を見つめたまま、クラクラと視界が揺れる様な感覚を覚えた。

「私、貴方が好きなの。ずっと好きだったの。蓮……貴方の事を」

目を逸らさずそう言い切った彼女を、ただ茫然と見つめる。

「それは君が子供の頃の話でしょ?今は関係無い……」

「今でも好きだって言ったら?」

僕の言葉を遮ってノラはそう言うと、僕の答えを待つように静かに僕を見つめた。

緊張と不安で揺れながらも強い輝きを失わないその瞳は、僕の胸を酷くざわめかせる。

……ノラが……僕を好き?

頭の中でその言葉を反芻した次の瞬間、クスクスと僕の口から吐息が漏れる。
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