△~triangle~

「僕は明が好きなんだ」

その僕の言葉に、ノラは微かに目を見開いた。

「もちろん兄弟としてじゃないよ。この世の何よりも……僕は明が大切なんだ」

クスクスと笑い続ける僕を、ノラは困惑した様に瞳を揺らし見つめている。

「それなのに君は平気な顔をして僕等の間に割り込んで来る。平気な顔をして僕の大切なモノを奪って行く」

「……蓮」

僕の口から止めどなく溢れる憎悪の籠った言葉に、ノラは震える声で小さく僕の名を呼び茫然と立ち尽くした。

「だから僕は……君が嫌いなんだ」

そう言ってニッコリと笑って見せると、彼女は傷付いた顔をして俯いてしまう。

その彼女の姿にズキンと抉られる様に胸が痛み、しかしそれを無視して言葉を吐き続ける。
< 214 / 451 >

この作品をシェア

pagetop