△~triangle~
「僕は明が好きなんだ」
その僕の言葉に、ノラは微かに目を見開いた。
「もちろん兄弟としてじゃないよ。この世の何よりも……僕は明が大切なんだ」
クスクスと笑い続ける僕を、ノラは困惑した様に瞳を揺らし見つめている。
「それなのに君は平気な顔をして僕等の間に割り込んで来る。平気な顔をして僕の大切なモノを奪って行く」
「……蓮」
僕の口から止めどなく溢れる憎悪の籠った言葉に、ノラは震える声で小さく僕の名を呼び茫然と立ち尽くした。
「だから僕は……君が嫌いなんだ」
そう言ってニッコリと笑って見せると、彼女は傷付いた顔をして俯いてしまう。
その彼女の姿にズキンと抉られる様に胸が痛み、しかしそれを無視して言葉を吐き続ける。