△~triangle~
「……蓮?」
急に笑い出した僕をノラは心配そうに見つめている。
「ねぇ……ノラは僕が好き?」
その突然の僕の問いに、ノラは驚いた様に目を見開く。
しかしすぐに真剣な顔をすると、ノラは小さく口を開いた。
「好きだよ。私は……蓮が好き」
そのノラの答えに満足そうに頷いて見せると、それからそっと……彼女の頬に手を触れた。
「……れ、蓮?」
頬に触れられたノラは少し困惑した様に瞳を揺らしながら、ただ僕を見つめている。
「……何も知らないくせに」
そう冷たい声で小さく呟くと、次の瞬間……彼女の唇に僕の唇を重ねた。
「……っ……ん」
ノラは驚いた様に目を見開き僕から距離を取ろうとするが、彼女の腕を強く掴んだまま唇を奪う。
無理やり口を開かせ舌を絡めると、ノラは苦しそうに吐息を漏らしギュッと強く瞳を閉じる。
それからそっと唇と放すと、そのまま彼女の耳元に唇を寄せた。
「これで全部終わりだ。……本当に君は残酷な子だね」
そう彼女の耳元で囁くと、そのまま静かに後ろを振り返る。
するとそこには、微かに開かれた扉の隙間から茫然と僕達を見つめる……明の姿が見えた。