△~triangle~
19 選ばれる者と選ばれぬ者(ノラ)
「……雨、止まないね」
「うん」
大きなガラス張りの窓から曇った空を眺める私の呟きに、明が小さく答えた。
暗く淀んだ空からはシトシトと雨が降り注ぎ、私の心を不安にさせる。
そっと壁に掛けられている時計を見れば、時刻は16:42を示していた。
昨日の夜、蓮はこの部屋を出て行ったきり、帰って来ない。
電話を掛けても携帯には出ず、どこにいるのかさえ分からなかった。
「蓮、何処に居るのかな」
「……さぁな」
私の呟きにまた短く返事が返って来る。
その返事にそっと後ろを振り返ると、片膝を抱えてテレビを見ている明の背中が見えた。
テレビはちょうど天気予報をやっている様で、《今日はこれから更に雨が激しくなる》とお天気お姉さんの可愛い声が聞こえる。
その天気予報に小さく溜息を洩らすと、私の横で眠る二匹の猫に視線を落とした。
シロとクロはフリーリングの床に丸まったまま、体を寄せ合って眠っている。
しかし私の視線を感じたのか、シロがそっと顔をあげて私を見つめた。