△~triangle~

「クロ、ご飯だよ!」

そんな事を思いながらクロを呼ぶと、クロは静かに顔を上げ、それからのそのそと体を起こした。

そしてそのままトコトコとこちらへ向かって歩いて来ると、静かに私を見上げる。

「どうしたの?お腹空いてないの?」

不思議そうに首を傾げて見せると、クロは暫く黄緑色の瞳で私を見つめ……それからそっと餌を食べ始めた。

いつもと違うクロの姿に、少しだけ不安になる。

……蓮が……居ないからかな。

いつも二匹のご飯は蓮があげていた。

急に居なくなってしまった蓮の事を、この少し息苦しい重たい空気を……猫達も感じているのだろうか。

そんな事を考えていた……その時だった。

ガチャリという音と共に、部屋の扉が開かれる。

そして見えた姿に、思わずその場に立ち尽くした。
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