△~triangle~
「明、君はいつだってそうだ。本当は全部分かってるくせに、いつも何も知らない振りをする。本当は知ってるんでしょ?十年前、僕がどうして……君の家に引き取られたのか」
呆れた様に肩を竦めて見せる蓮の言葉に、明は深い溜息を吐く。
「あの人の考えてる事なら、何となく分かってたけどな」
明はそう答えると、自嘲気味に笑った。
しかし笑みを浮かべている姿とは対照的に、張り詰めていた空気が一気に凍りつき、二人の表情がどんどんと険しくなっていくのが分かった。
「……や、止めてよ二人とも!!」
そう言って慌てて二人の間に割って入ると、二人の鋭い視線が私に向けられた。
「ノラには関係ないでしょ。黙っててよ」
「……おい!!」
蓮の言葉を咎める様に明が声を荒げる。
その明の姿に蓮は不快そうに眉を顰めて見せると、ワザとらしく肩を竦めて見せた。