△~triangle~
「こんな時になっても、好きな女の子は守ってあげたいんだ」
「……え?」
突然の蓮の言葉に、思わず小さく声を漏らした。
「……お前」
明はそれだけ言うと、刺す様に鋭い視線を蓮に向ける。
それを見て蓮はクスクスとおかしそうに笑うと、それから真っ直ぐに私を見つめた。
「明はずっとノラが好きだったんだよ。小さい頃からずっと、ノラを好きだった。ずっと、ずっと……君の事だけを」
「蓮!!」
まるで歌う様な蓮の言葉に、明が声を荒げ蓮の名を呼んだ。
「でも残念だったね。ノラは僕の事が好きらしいよ?」
そう言って蓮はクスクスと笑い続け、首を傾げて見せた。
……明が……私を好き?
蓮の言葉がグルグルと頭の中を廻り、しかしその言葉の意味が理解出来ないまま、静かに明を見つめた。
すると明は苦しそうに表情を曇らせ、私から顔を背けた。