△~triangle~
「でも……お前はいつでもそうだ。自分がこの世界で一番不幸みたいな顔をして生きてる。……だからムカつくんだよ」
明の口から洩れた明確な負の感情の籠った言葉に、思わずドクンと心臓が鼓動を打った。
その明の言葉に蓮は浮かべていた笑みを消すと、フラフラと立ち上がり真っ直ぐに明を見つめる。
そして次の瞬間、蓮は思いっきり明の頬を殴り飛ばした。
蓮の細い体から繰り出されたとは思えない重いパンチに、グラリと明の体が揺れ彼はフラフラと二、三歩後ずさる。
「……っ」
小さく声を漏らした明の口から真っ赤な鮮血が滲み、明は少し驚いた様にその血を手の甲で拭った。
「それはお互い様でしょ?明だってそうじゃないか。俺は不幸だって顔してる」
蓮はそう言って床に落ちているバッグを拾い上げ、明と同じ様に殴られたせいで切れた唇の血を無造作に腕で拭った。