△~triangle~
「君は須藤家の後継者の立場を僕に譲るつもりはない。……僕もだよ。僕も君に譲る気はない」
蓮はハッキリとそう言い放つと、鋭い視線を明に向ける。
「父さんを、須藤家をどんなに拒絶しながらも、君は後継者という立場を捨てる事が出来ない。明は結局、須藤家を捨てられない。君のお母さんが言った言葉を、君は叶えようとしている。それが彼女への弔いだと、君からの想いの証だと、それこそが父さんへの復讐だと……そう思ってる。違うの?」
嘲笑にも取れる笑みを浮かべた蓮の問いに、明は何も答えない。
ただ刺す様な冷たい瞳を蓮に向け、強く拳を握り締めているだけ。
「僕が何も知らないと思った?僕は最初から知っていたよ。君が僕を傍に置いたのは、僕を監視し、父と共謀して須藤家の後継者としての地位を確立しない為。君は僕の気持ちを知っていて、僕が君を裏切らない様に、何も知らない振りを続けていただけ」
「……蓮」
そう小さく明が蓮を呼ぶと、蓮は苦しそうに眉を顰めた。