△~triangle~

「僕だってそうだ。僕は君を後継者にしない為に、君をあの家から連れ出した。君を甘い言葉で唆して、この家で生活を始めて、今までずっと君が須藤家を継ぐ邪魔をしてたんだよ」

蓮はそう言うと、悲しそうに笑った。

「いつかはこうなるって分かっていたじゃないか。僕達はいつかこうなるって……分かっていた。ねぇそうでしょ……明?」

その蓮の問いに明が答える事は無く、明は俯いたまま強く握り締めた拳を微かに震わせている。

そんな悲しい彼の姿を蓮は何も言わないまま暫く見つめていると、それからそっと後ろを向いた。

「僕は絶対に譲らない。僕は須藤家の後継者になって見せる。父さんの……望みの通りに」

蓮はそれだけ言うと、そのまま玄関の扉を開き、外へと飛び出していってしまった。
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