△~triangle~

「ねぇ、ノラ。君は言ったよね?……僕が好きだって」

その僕の問いにノラは何か考える様に俯き、それからとても真剣な顔をしてコクリと頷いて返した。

「ねぇ、ノラ。それが君から……バイオリンを奪った男だとしても?」

「……え?」

嘲笑うかの様に笑みを浮かべる僕の問いが理解出来なかったのか、ノラはまた小さく声を漏らし首を傾げてみせる。

「君の腕がダメになったあの事故。本当は僕がやらせたんだ」

その僕の言葉に、ノラの瞳が見開かれる。

「あの事故で運転していた女性が亡くなったでしょ?僕があの人に頼んで君を襲わせたんだよ。まさか車で轢き殺そうとするなんて思わなかったけど」

そう言ってクスクスと笑って見せると、ノラはカタカタと体を震わせながら驚愕の瞳で僕を見つめた。
< 245 / 451 >

この作品をシェア

pagetop