△~triangle~
24 見送る背中(明)
窓からそっと空を見上げれば、そこには燦々と輝く太陽が見えた。
まるで昨日の雨など嘘だったかの様に、太陽が眩しく光っている。
そんな薄暗い自分の心とは豪く対照的な光景に、小さく笑みを浮かべた。
シンと静まり返った部屋の中、そっと膝を抱えて目を閉じる。
……俺って、ホントに馬鹿だ。
そう心の中で呟くと、自嘲気味に笑った。
あれから俺は、ノラに全てを話した。
蓮やノラに初めて出会った時の事や、この部屋での生活の事。
俺の生まれ育った須藤家の事や、俺の母親が自殺している事。
あの残酷な事件の事に、そんな事件を起こした《彼女》の事。
そして蓮の……母親の事。
一つを話す為に何度も話を遡らなくてはならず、なかなか話は進まなかった。
しかしノラはその全てを聞き逃さない様に、ただ静かに頷きながら俺の話に耳を傾けていた。