△~triangle~
「……貴女と蓮が出会うなんて、思っていなかった」
そう彼女は小さく呟くと、困った様に笑って見せる。
「これも……運命とでも言うのかしらね」
「……奈緒先生」
小さく彼女を呼ぶと、彼女は微かに息を吐き、それから口を開いた。
「私は……蓮を捨てたの」
その彼女の残酷な言葉に、グッと息を呑む。
「全てが始まったのは、私が……私達が大学生の頃。当時すでに付き合っていた貴方のお父さんと、お母さん。それから私は、同じ音大に通う友達だった」
奈緒先生は遠い昔を思い出す様に、微かに目を伏せて話し続ける。