△~triangle~

「大学に入ってから貴女のお父さんとお母さんに出会って、仲良くなって……毎日が楽しかった。そんな時、一人の男性に出会ったの」

「……それが……須藤さん?」

その私の問いに彼女はコクリと頷くと、困った様に笑った。

「彼は須藤家の跡取り息子で、私とは考え方から一般常識まで……何もかもが違い過ぎていた。初めはお坊ちゃまな考え方でイライラしたり、カチンと来る事もあったわ。でも不思議な事に、そんな彼にどんどん惹かれていく自分を知ったの。それからはとても簡単。大学二年の時、私達は付き合い出した。それからは楽しかった。傍には音楽があって、大事な友達が居て、そして大好きな彼が居る。きっと私の人生で……あの頃が一番輝かしかったのかもしれないわね」

奈緒先生はそう言って自嘲気味に笑うと、また小さく息を吐く。
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