△~triangle~
夕暮れの街を、二人で手を繋いだまま歩いて行く。
こんな風に手を繋いで誰かと歩いたのは……どれくらいぶりだろうか。
幼い頃に母と手を繋いで歩いた事を覚えている。
そんな事を考えながら、ただ何も言わず二人でオレンジ色の空の下を歩いて行く。
……僕等の《家》へと向かって。
僕に戻る資格などあるのだろうか。
そんな考えが頭に浮かんだ瞬間、ギュッと強く手を握り締められる。
それと共にそっと隣に視線を向ければ、ノラの穏やかな笑みが見えた。
その笑みは僕の全ての罪を許す様に優しく、強い微笑み。
そんな彼女に困った様に精一杯の笑みを浮かべて見せると、彼女も同じ様に笑みを返した。