△~triangle~
27 許す強さ(明)
ガチャリと開かれた扉の音と共に、見えた姿に微かに身を強張らせる。
黒い扉の先から姿を現したのは、長い髪の少女と……黒髪の男。
「……蓮」
そう小さく震える声で彼の名を呼ぶと、蓮は気まずそうに俺から視線を逸らしたまま、グッと息を呑んだ。
その横でノラは俺と蓮を窺う様に見ながら、困った様に笑って見せる。
何と声を掛けていいのか互いに言葉が見つからないまま、ただ静かに時間だけが流れて行く。
……何か言わなくては。
そんな考えが互いに手に取る様に感じられ、そのおかしな空気に思わず小さく笑みを浮かべた。