△~triangle~

「ごめんねクロ……僕のせいだ。全然気付いてあげられなかった」

そう言って蓮は悲しそうに眉を顰めて、ギュッと拳を握り締める。

「お前だけのせいじゃない」

「……うん。そうだよ」

俺の言葉にノラは深く頷いて見せると、グッと握り締められた蓮の手に触れる。

それに答える様に蓮は小さく頷くと、嬉しい様な悲しい様な複雑な顔をして……笑った。

それから暫く沈黙が続いた。

壁に掛けられた時計が、規則正しく時を刻む音を聞きながら、三人でただジッとクロを見つめている。

そっと視線を逸らし窓から空を見上げれば、そこには漆黒の空と淡く光る月が見える。

それはクロの不思議な黄緑色の瞳を思い出させ、ツキンと小さく胸が痛む。

その痛みがまるで俺に……俺達に何かを訴えかけている様に感じ、微かに唇を噛み締めたままギュッと膝を抱えた。
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