△~triangle~

「……私達、多分いろんな事から逃げてると思うの」

その突然のノラの言葉に、俺と蓮の視線が彼女に向けられる。

「だから私は……ちゃんと向き合うって決めた」

「……それって」

蓮のその呟きにノラは深く頷いて答えると、ニッコリと眩しい笑みを浮かべて見せる。

「私……自分の家に帰る。そこでお父さんと話してみる。これからの事、ちゃんと考えてみようと思うの」

「……ノラ」

強い決意の瞳をした彼女の言葉に、俺と蓮の声が重なり、彼女の名を呼んだ。

それに応える様に彼女は優しく笑うと、そっとクロの体を撫でる。

悲しみを纏った……でも、決して迷いの無いその瞳を見つめたまま、自分の心を奮い立たせる。

そう……いつまでも逃げてはいられない。
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