△~triangle~
「大きく……なったわね」
少しだけ悲しそうに瞳を揺らすその彼女の呟きに、コクリと頷いて答える。
「もう……二十三ですから」
そう言って笑って見せると、彼女は静かに目を伏せて、そっと僕から視線を逸らした。
「私は貴方に……何て言ったらいいのか分からない」
彼女は微かに震える声でそう呟くと、自嘲気味に笑って目の前のお墓を見つめる。
それは亡くなった……祖母のお墓だ。
そして彼女の……母親の墓。
灰色の墓石の前には、真っ白な百合の花が置かれていて、それは微かに吹いて来る風でユラユラとその白い花弁を揺らしていた。