△~triangle~
「……私、諦めない。私は絶対に《音楽》を諦めません」
手にしたバイオリンをギュッと握り締め、真っ直ぐに父を見つめたまま言い放つ。
すると父は何も言わないまま、静かに私の前まで歩いてきた。
「お前なら……きっと大丈夫だ」
父はそれだけ言うと、そっと私の頭を撫でた。
それはまるで小さな子供をあやす様に優しく私の頭を撫で続ける。
その懐かしくも感じる父の大きな手の温もりに、ボロボロと溢れる様に涙が頬を伝った。