△~triangle~
一年前と全く変わらないままの部屋の中、少女の演奏会は続いた。
観客は猫一匹。
でも少女には……それで充分だった。
その手でもう二度と生み出す事の出来ないと思っていた《音楽》は、頼りなくぎこちないが、キチンと彼女の手から生み出されている。
その事実だけで、少女は満足だった。
それこそがこの一年の、少女の努力の《証》なのだから。
最後に少女が弓を引けば、その旋律は静寂へと溶け込み、消えて行く。