△~triangle~

「……前よりもマシだったかも。ね……シロ?」

その少女の問いに白い猫は《にゃ~》と小さく鳴いて答え、それに少女は満足そうに頷いて見せた。

それから少女は持っていたバイオリンをそっとテーブルに置くと、《う~ん》と大きく伸びをする。

その時だった。

突然床に寝転んでいた白い猫が、ハッと顔を上げ、玄関へと視線を向けた。

「……どうかしたの?」

その少女の不思議そうな問いに猫は答えないまま、素早く体を起こし、玄関へと向かって走って行く。

「ちょっと、シロ?」

そう少女が白い猫を呼んだ、その瞬間。

ピンポーンと軽やかな電子音が、広い室内に響き渡る。
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