△~triangle~

「にゃお~ん」

その電子音に答える様に、白い猫は甘い声で鳴き、玄関の扉の前にちょこんと腰を下ろした。

少女は暫く呆然とその猫を見つめていたが、何かを理解したのか、ゴクリと息を呑んで早足で玄関へと向かって行く。

少女の胸はドクドクと壊れそうな程に鼓動を速め、今にも口から飛び出してしまいそうな心臓を抑える様に、そっと胸に手を触れる。

それから少女は微かに震える手でそっとドアノブに触れると、次の瞬間、思い切って扉を開いた。

そしてその先に見えた、思った通りの姿に……少女は震える唇を開いた。

「おかえりなさい」

そう言って少女は笑った。

その笑みはまるで空に輝く太陽の様に眩しい……そんな微笑み。
< 437 / 451 >

この作品をシェア

pagetop