△~triangle~

……本当は不安だった。

この部屋を出て一年が経ち、果たして二人は、一年前と同じ気持ちでいてくれるのかと。

……人の心は移ろい易く、脆い。

だから心のどこかで、僕は不安を感じていた。

もしもこの部屋に……誰も居なかったら、僕はどうするのだろうかと。

そんな事を考えながら、そっとノラを見つめる。

ノラはまるで太陽の様な眩しい笑みを浮かべて笑っていた。

その笑みは僕の仄暗い心を照らし、何故だか胸を軽くしてくれる気がする。

……ノラ。

君がいなければ、僕等がこんな風に笑い合える事は、きっと無かっただろう。

僕は君に感謝している。

だからそれと同時に、苦しくなった。

こんな僕は、一体君に、何が出来るのだろうかと。
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