狼さんの恋人ごっこ。
この忌々しいあだ名で呼んでくる彼、
矢都くんこそが、私の「苦手」の現況だ。
私はテストで彼に勝てたことが一度もない。別に私が頭が悪いわけでなく、彼が見た目に反して頭が良すぎるだけ。
これが更に気にくわない
「矢都くん、あなた私をからかってそんな楽しいわけ?」
私は苛立ちと不満を目線に込めて彼に向けた。
すると、彼はケロっとした声で
「まぁ森瀬嬢はかわいいからね、たのしいかな」
と、またバカにしてくるのだ。
これがいつもの私たち
これから変わることもなく
このまま卒業すると思っていた
ましてや、彼とあんな関係になるなんて、思っても見なかった。
そう、始まりはあの日。
あのゲームから始まった。