--測定不可能--


そんなことをしている間に、空くんはお父さんと同じ色のエプロンをかけて、手を洗っている。



綺麗な指。


そっと私の指と見比べてみた。



私よりもずっと綺麗な指だった。




空くんはその綺麗な指で、手品のようにコーヒーを煎れはじめた。




ずりずりずり…



豆を挽いて



こぽこぽ…



はじめは少しだけお湯を注ぐ。



途端に、いい香りがしてきた。


「わぁ…」



思わず声がでた私に空くんは微笑みかけてきた。





こぽこぽこぽこぽこぽこぽ…



空くんがさらにお湯を注ぐ。

豆がどんどん膨らむ。

私の期待もどんどん膨らむ。




空くんの目はなんだかキラキラしていた。
< 36 / 102 >

この作品をシェア

pagetop