--測定不可能--


満は付き合いはじめたときは私といると、すぐにぼーっとしていた。


私が具合が悪いのかときくと、彼は違うと首を振り、照れながら言った。



「時計の音を数えてるんだ。…………こうしてると緊張がとけるから。……俺緊張しやすくて…………。」


そして、私の目をみて……


「俺、お前が好きだから、ずっとずっと一緒にいたいから、だから緊張してんだよ……」


はにかんだ満。


二度と忘れられないであろう思い出。





満と別れてからも、私は緊張すると時計の音を数えることにしていた。

そして、満からの花がなくなって、空いてしまった花瓶に、まるで心の隙間を埋めるように次々と花をさした。


< 43 / 102 >

この作品をシェア

pagetop