--測定不可能--
満は付き合いはじめたときは私といると、すぐにぼーっとしていた。
私が具合が悪いのかときくと、彼は違うと首を振り、照れながら言った。
「時計の音を数えてるんだ。…………こうしてると緊張がとけるから。……俺緊張しやすくて…………。」
そして、私の目をみて……
「俺、お前が好きだから、ずっとずっと一緒にいたいから、だから緊張してんだよ……」
はにかんだ満。
二度と忘れられないであろう思い出。
満と別れてからも、私は緊張すると時計の音を数えることにしていた。
そして、満からの花がなくなって、空いてしまった花瓶に、まるで心の隙間を埋めるように次々と花をさした。