ケンカ+理解×大好き=友情

実技試験中。

赤信号になった時にブレーキを踏むタイミングが遅れた上に、目の前の横断歩道にはおばあちゃんが歩いていて……。

「どこ見て運転してるんだ!!」

教習の時は温厚でジョーダンばかり言ってた先生が助手席で怒鳴るほど、私は危ない運転をしていた。

信号で停止する……。
教習中にはしっかりこなせていたし、それ以外の試験項目は完璧にクリアできていた。

初心者にとっては難しいと言われる縦列駐車や幅寄せも。


でも、たった一つのミスが大きすぎて、あっけなく不合格になった。


人を引きそうな運転をしたのだから当たり前。

自分にそう言い聞かせてはみたけど、その時はなんだか納得できなくて、悔しくて悔しくて、だんだん腹が立ってきて、みじめでもあった。


試験が終わった後、誰もいないしんとした夕方の薄暗い休憩所で、泣いてしまった。

偶然それをあっちゃんに見られた時はヒヤッとしたけど、

「まだ一度目だし、失敗することもあるよ。

次があるじゃん?

なっちゃんなら、できるよ」

笑わずにグチを聞いてくれ、そうやって勇気づけてくれたあっちゃんに、とっても救われたんだ……。

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