ケンカ+理解×大好き=友情
街灯の少ない住宅地の屋根には、早くも満月の光がまんべんなく降り注いでいる。
夜闇を切って遠くから響いてくる犬の声を耳にしながら、私とあっちゃんは肩を並べてミサキの自宅玄関の前に立った。
閑静な住宅街の中にある、白を基調とした一軒家。
ミサキの自宅の玄関照明はセンサー式で、人が近づいた時だけ明るくなるタイプの物だから、その淡いオレンジ色に照らされた瞬間、悪いことなんて何もしていないのに、一瞬だけ空き巣狙いの窃盗犯になったような気分になる。
初めてミサキ宅に来たあっちゃんも驚き、
「うわっ、電気か! ビックリした……」
と、小さく声を上げたくらいだ。
「あっちゃん押しなよ」
「いや、まずはなっちゃんからでしょ」
どっちがインターホンを押すかでしばらくゴチャゴチャしていたが、最終的に私が押すことになった。
「まずは、なっちゃんから話さないとね。
順番的に、俺は後の方がいいだろうから」
「だね……」
ミサキと仲直りできる保証も自信もないけど、あっちゃんがそばにいてくれるってだけで、いくらか心強い。