ケンカ+理解×大好き=友情
電話を終えたあっちゃんは、
「ユナと付き合えることになった……」
と、不合格になったはずの試験に「やっぱり受かってましたよ!」と言われた受験生のように、ぼんやり立ち尽くした。
「はあ!? ウソ! ありえない!」
ミサキは露骨に疑ってかかるが、私は信じることができた。
ユナちゃんに別れを告げるはずの電話中、あっちゃんは終始穏やかだったから。
あっちゃんは折りたたみ式のケータイを開きっぱなしの状態で右手ににぎりしめ、へなへなとその場にしゃがみこんでしまう。
「どうしてそうなったの!?
分かるように話してよ!」
あっちゃんの肩を両手で激しく揺さぶるミサキを止め、私も訊(き)いた。
「ミサキ、落ち着きなよ。
あっちゃん、何があったの?」
「……ユナ、彼氏と別れたって……。
俺のこと好きになったって……」
「マジ!?」
私はもちろん、予想外の展開にミサキも驚いてたけど、みるみる喜びに満ちた顔になり、
「やったじゃん! お祝いしよ、お祝い!
ユナさ、トラブル続きの彼氏なんかよりあっちゃんの方が良くなったんだね!」
と、3人でのお祝いを提案した。
最初はユナちゃんと付き合うという現実が信じられなくて放心状態だったあっちゃんも、ミサキの盛り上げでじょじょにテンションが高くなっていく。