ケンカ+理解×大好き=友情
その翌日。
私とミサキは、コンビニでバイトしているあっちゃんに会いに行き、お客さんの足が途絶えるたびに作戦会議をした。
「高校までにしてた貯金は、大学入学する時にほとんど使っちゃったからなぁ……」
あっちゃんはカウンターに両手をついてうなだれる。
そうだよね。あっちゃんは他県から引っ越してきたから、なおさらだよね……。
引っ越しには何かとお金がかかる。
アパートの敷金礼金も、全部あっちゃんが出したそうだ。
「……あっちゃん。
やっぱり、お金なんかに頼らず、マナツに話して分かってもらおうよ」
そう口にする私の言葉が耳に入っていないのか、カウンター内にいるあっちゃんはレジをジッと見つめている。
ミサキはただならぬ何かを感じたのか、店員でもないのにツカツカとカウンターの裏に周りこみ、あっちゃんの頬を勢いよく指で引っ張った。
「ちょ、ミサキ!」
「いま、バイト先のお金盗もうって思ったでしょ!
そんなことしたら、今度こそ本気で絶交だからね!」
「ひょめん! いひゃい! はなひひぇ!
(ごめん! いたい! はなして!)」
あっちゃんは、ミサキの言う通り本気でレジのお金に手をつけようとしてしまったらしい。
ミサキにつねられた頬をさすりながら、あっちゃんは恥ずかしそうにこう言った。
「みいちゃんのおかげで、目ェ覚めた。
ありがと。
貯金始めたばかりだから、正直言うと10万も持ってないんだよね……」