ケンカ+理解×大好き=友情

ミサキは、カウンターの下にある真新しいビニール袋を意味もなく1枚取り出し、それを広げたり絞ったりしながら、

「金ないんじゃ、どうしようもないじゃん。

ユナがあっちゃんを好きになったのだって、どうしようもないことだし。

あきらめ悪いマナツがダメなんだよ」

「そうだよ! あっちゃんは、今でも充分、ユナちゃんに尽くしてんじゃん!」

ミサキのセリフに乗せるようにあっちゃんにそう言い聞かせていると、

「は? ユナがそいつに満足してる?

ウケるわー」

聞いたことのない男子学生の声が店内に響く。

話に夢中で気がつかなかったが、

話題の張本人·マナツがコンビニの自動ドアを抜け、カウンターの前に立っていた。

明るめの茶色い髪。

両耳にたくさんつけられたピアス。

露出が多く、筋肉がくっきり見える服装。

族の頭だと説明されても違和感のない雰囲気。

鋭い目つきに冷たい口元。

名乗られなくても、彼がユナちゃんの元カレ·マナツだとわかったのは、

「お前が三上アマネ?」

と言い、あっちゃんをニラんできたからだ。

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